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投資環境
vol6

人民元の切り上げ問題その2


切り上げについて
今回は再び人民元切り上げ問題について考察して見ることにします。
人民元の切り上げ観測はこれまでにも、ほんとに何度も報道されて来ました。 そのたびに株価が反発し、次第に収束していくと言う流れを繰り返してきました。
したがって長く中国株に携わる方々には、切り上げ観測が持ち上がるたびに、 またかと言う感想と同時に、もしかして今度はひょっとしたらと言う思いに かられてきました。
実際のところどうなのかなかなか予測が難しいところです。

ここ数年の変動幅
1ドル=8.2760元―8.2800元の範囲内
実質のドル・ペッグ制(ドルに固定)

切り上げの背景
通貨価値の割安感の増大
中国の経済成長。それによる通貨価値の増大。
しかしながら現状はペッグ制。割安感が増してきている。

海外での不公平な価格競争
中国からの割安な商品の流入によりデフレが助長。

膨大な外貨準備高
中国政府はドル・ベック制を維持するために膨大な元売り、ドル買い介入を進めてきました。その結果現在中国は4700億ドル(2004年6月)の外貨準備高と日本についで世界第2位の規模にまで拡大しました。しかも昨年末から半年足らずで600億ドル以上の増加です。これにより市場に大量に元が供給されることになり、インフレ圧力にもなっています。

不安視される点
金融不安への懸念
脆弱な金融システムと膨大な不良債権(急速に処理を進めてはいる)を抱える 国内金融機関が切り上げにより、対応に行き詰って金融不安の引き金となる。

企業の業績への影響
輸出主導の企業は当然引き上げにより価格競争力が低下し、業績悪化につながる。

社会不安を招く
人民元切り上げによる企業業績への影響で短期的な失業率の増加が予想されます。
特に農業分野は深刻で、現状ですら1億6000万人近い余剰人員を抱えていると言われているのですから、価格競争力が低下すれば更なる余剰人員の発生は否めません。
失業者が増加すれば社会不安を招く恐れもあり、特に中国は新体制に移行して権力基盤が磐石ではない現状では避けたい事態ではないでしょうか。

海外からの直接投資が冷え込む
切り上げによって海外からの直接投資のコストが上昇し、投資意欲が減退するのではないかと言った心配もあります。
ただ元高により対外債務支払能力が向上しますから、海外投資家による資金流入が増えると言ったプラスの面もあります。

リスクヘッジが少ない
中国は先進国に比べ、株式市場や為替市場の整備が遅れている面が多々あります。
こうした国では先進国よりも為替変動が大きくなる傾向があり、また金融商品なども不十分で、為替リスクをヘッジする手段が少ないと言った問題もあります。

実際の所
金融不安について
まずこれまでは膨大な不良債権を抱えていた国内大手金融機関ですが、 もちろんまだまだ不良債権はあるのですが、国による後押しもあり、 急速に処理を進めています。
さらに株式市場への上場なども計画されており、 それにより体力の強化がより進展してくるものと思われます。 金融不安への懸念と言った状況も徐々に変わりつつあるといえます。

産業への影響
中国は経済発展にともない輸出も拡大してますが、同時に国内市場も大きく成長してきています。元の切り上げで確かに輸出の面では企業にとっての大きな影響は避けられないといえますが、国内市場も発展してきています。
また中国は現在今後の経済成長で鉄鉱石や石油をはじめとした資源の確保と言った問題にもさらされてきています。元の価値が高まればそうした輸入の面ではむしろプラスに働きます。

株価への影響
現在外国人は元建ての本土A株は購入できませんが、米ドル、香港ドル建てのB株やH株は購入できます。H株、B株企業の多くは保有資産の大部分(不動産や有価証券、商品在庫など)が元建ての資産ですから、資産価値は上昇することになります。
株価はその企業の価値や将来性を反映して動く物ですから、当然株価に置いてもプラスの要素になります。要は上昇するということです。

もちろん為替の変動と言うのは原材料の調達や販売など様々な企業活動に影響を与えるものですから、企業ごとに影響の仕方にも差と言うのは当然あります。
切り上げしたのに逆に株価は大きく下がったと言う企業も中にはあるかもしれません。輸出主導の企業などは特にそうでしょう。

切り上げ時期は?
人民元の切り上げは長期的に見ればプラスの面も決して少なくないことからおそらく実施されるものだと思われますが、急速な切り上げは経済への影響も大きく、それによる失業率の上昇、社会不安の増大などが心配されるので、緩やかな切り上げになるのではと言った見方が大半です。

実際にいつごろ切り上げが行われるかですが、銀行の不良債権処理や金融市場、為替市場の整備、国内市場の拡大、企業業績の拡大による国内余剰人員の吸収など、切り上げに対する体制と言うのは年々改善されてきてはいますが、まだまだ抱える問題が多く存在するのも事実です。緩やかな切り上げに踏み切るのか、しっかりと万全を気して、もう少し先の話になるのか?正直判断は難しい所です。



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text 2004/10/13







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