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中国の銀行業界について、四大国有商業銀行とは




4大国有商業銀行
中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行の4行が、中国4大銀行と言われており、1994年の金融改革で外貨取引専門や、農村部融資専門といったそれまでの専業銀行体制から、商業性を備えた国有商業銀行へと生まれ変わりました。これら4大銀行だけで中国全体の総資産の8割を占めます。


4大銀行のこれまでの経緯
中国で最も古い銀行が1912年に設立された外貨取扱専門銀行である中国銀行です。1948年には中央銀行として中国人民銀行が設立され、1952年には全国農村地に建設された農村信用合作社を指導する中国農業銀行が、1954年には財政資金取扱銀行として中国建設銀行が設立されました。これらは1958年には中国人民銀行一社に一本化されその後は一社による独占体制へと変わりました。

1978年にはふたたび独占体制から分社化され外国為替の中国銀行、農村部融資の中国農業銀行、固定資産投資の中国人民建設銀行、企業向け流動資金貸付の中国工商銀行の4社体制に移行し、その後民間などによる株式制商業銀行の参入なども行われ、多くの銀行が設立されることになります。


中国の銀行の総資産上位10社

アメリカの調査会社であるSNLフィナンシャルが発表した2015年3月時の世界の銀行の総資産ランキングでは1位から3位までを中国の銀行が独占しており、4位にイギリスのHSBCが続いて、5位には中国銀行がランクインしています。総資産だけでみると世界トップ3が全て中国の銀行です。トップの中国工商銀行の総資産は日本円にして約403兆円にもなります。ちなみに日本では8位に三菱UFJフィナンシャルグループがランクインしていて総資産は279兆円です。

大手4大銀行だけでなく、中国交通銀行や中国開発銀行も資産規模は1兆ドル(117兆円)を超えており、世界で見ても25位、26位にランキングしています。

中国主要銀行の総資産ランキング(2015年)
順位会社名総資産
(10億米ドル)
1中国工商銀行3452.02
2中国建設銀行2819.47
3中国農業銀行2716.31
4中国銀行2584.45
5中国交通銀行1069.20
6中国開発銀行1014.29
7中国招商銀行791.98
8興業銀行728.11
9中信銀行710.22
10上海浦東発展銀行686.53



中国の大手6行の純利益

中国の大手銀行では稼ぎ出す純利益の額も膨大で、最大手の中国工商銀行では2758億元(4兆6886億円)もの純利益を稼いでいます。中国の銀行業界は資産規模だけでなく高い収益性も達成しているのです。その金額は5位の交通銀行でも1347億元(2兆2899億円)と非常に巨額の純利益を稼いでいます。

中国主要銀行の純利益ランキング(2014年)
順位会社名純利益
(億元)
1中国工商銀行2,758
2中国建設銀行2,278
3中国農業銀行1,794
4中国銀行1,695
5中国交通銀行1,347
6中信招商銀行559


膨大な不良債権

これまで、4大国有商業銀行は、党幹部からの口利きなどにより、赤字の国有企業にもかかわらず、湯水のごとく妄信的に無理な融資を繰り返してきました。その結果不良債権はふくらみ、総資産に占める比率が20〜30%と大きな不良債権を抱えてしまうことになりました。現在同じく不良債権処理を進めている邦銀でさえ不良債権比率は7%台ですのでその比率がいかに大きいかがわかります。

上記は2004年時点での数値ですが、2014年12月期の決算では4大国有商業銀行の不良債権比率も最も低い中国工商銀行で1.13%、最も高い中国農業銀行でも1.54%まで低下しています。約10年で不良債権比率も大幅に低下させることに成功したようです。世界平均でも見て3%台後半なので、資産内容が大きく改善していることが伺えます。ただし資産の査定が甘いなどの批判もあるため、実質的にはもう少し高いかもしれません。



不良債権処理
不良債権の処理に当たっては、まず各行に資産管理会社を設立し、そこに不良債権を買い取らせ、それを外資へと売却させる、もしくは債権を株式化して、調達した資金を償却に当てるなどの施策を講じました。さらに金融機関の責任者50人以上をクビにするなどの対策も進めていった結果、2001年には1.3兆元(19兆円)もの不良債権が買い取られ、4050億元の不良債権が処理されました。中国の4大国有商業銀行の不良債権比率も2001年度の平均20.2%から2003年度には16.8%にまで低下しています。また、各行の不良債権の評価基準には依然不透明さが残るという問題点を改善すべく、不良債権に関する会計標準、債権分類、債権償却準備金などを引き上げるなどといった対策も講じています。


国が買い取る

資産管理会社は10年後に解散される見通しで、その時点で残った不良債権は国が買い取る予定です。しかしこの場合でもそれほど心配する必要はありません。というのも中国政府は日本政府などと比べて格段にお金持ちの政府だからです。土地や資源、ほとんどの企業が国のものという中国では、いざとなればそうした資産を切り売りすればいいからです。現時点での中国政府の資産は40兆円近くあるといわれています。

資産管理会社はAMC(Asset Management Company)とよばれ、4大国有商業銀行それぞれに対応するAMCが設立されました。中国工商銀行には華融資産管理公司が、中国農業銀行には長城資産管理公司が、中国銀行には東方資産管理公司が、中国建設銀行には信達資産管理公司が設立されました。

AMCは当初は10年で解散される予定でしたが、不良債権の回収も進み、景気拡大による資産価値の上昇により、経営自体も改善していったので、現在では銀行、証券、保険、リース等の幅広い金融ライセンスを取得し、商業的な民間金融組織への転換が進められています。



国有銀行の民営化

2002年8月に中国銀行傘下の中銀香港が香港市場に上場しました。中国政府は今後も不良債権処理を加速させ、経営状態のいい銀行から順次上場、民営化させていく予定です。これにより政府からの理不尽な干渉もなくなり、経営も健全化され、自己責任の意識も高まることが期待されています。

その後2005年10月27日に中国建設銀行が香港市場に上場し、2006年10月27日には中国工商銀行が香港市場と上海市場に上場しました。4大国有商業銀行の最後の一角である中国農業銀行も2010年7月15日に上海市場に、16日に香港市場に上場しました。これで4行全てが市場への上場を果たしたことになります。



4大国有銀行について
それでは4大国有商業銀行の特徴について詳しく見て行くことにします。

■中国銀行 (2015年)
設立1912年
売上高4,739億元(7兆1,085億円)
純利益1,794億元(2兆6,910億円)
総資産168,155億元(252兆2325億円)
不良債権比率1.43%

設立は1912年と古く、中華民国時代は中央銀行としても機能していました。1994年の金融制度改革以前は、外貨及び貿易専門の銀行でしたがその後は国有商業銀行へ変わっています。2006年10月に上海と香港市場に同時に上場しています。上海A株市場には中国銀行(601988)として上場し、香港H株に中国銀行(3988)として上場しています。邦銀では三菱東京UFJ銀行が香港での中国銀行の上場時に0.2%出資しています。資産規模は世界5位です。


■中国工商銀行 (2015年)
設立1984年
売上高6,687億元(10兆305億円)
純利益2,777億元(4兆1,655億円)
総資産222,097億元(333兆1455億円)
不良債権比率1.50%

設立は1984年です。もともとは国有鉱工業と商業企業への貸し出しを担当していました。1994年の金融制度改革で国有商業銀行へと変わっています。2006年10月に上海市場と香港市場に同時に上場をしています。上海A株には工商銀行(601398)として上場し、香港H株には工商銀行(1398)として上場しています。現在では総資産規模で世界トップの銀行となっています。2012年にシンガポールのテマセク・ホールディングスがゴールドマンサックスが保有していた株式を買い取り5.3%の株主となっています。


■中国建設銀行 (2015年)
設立1954年
売上高5,866億元(8兆7,990億円)
純利益2,288億元(3兆4,320億円)
総資産183,494億元(275兆2410億円)
不良債権比率1.58%

設立は1954年です。もともとは政府のインフラなどへの建設資金を効率的に管理するために設立されたもので、1994年の金融制度改革で政策金融部分は財政部や国家開発銀行へと移され、国有商業銀行業務へと特化しました。2005年10月に香港H株市場に建設銀行(939)として上場し、2007年9月には上海A株市場に建設銀行(601939)として上場しています。現在では総資産規模で世界2位の銀行となっています。バンクオブアメリカが10.9%を出資しています。


■中国農業銀行 (2015年)
設立1952年
売上高5,408億元(8兆1,120億円)
純利益1,807億元(2兆7,105億円)
総資産177,913億元(266兆8695億円)
不良債権比率2.39%

設立は1952年です。もともとは農業金融を担当していましたが、1994年の金融制度改革で農村向けの政策金融業務が中国農村発展銀行へ移され、1996年には農村信用合作社の監督管理機能も金融監督管理委員会に移されたことで完全に国有商業銀行業務へと移行しました。ほかの大手4代国有商業銀行よりも不良債権の処理が遅れていたため、株式市場へと上場したのは2010年になってからです。2010年7月に上海と香港市場に上場しています。上海A株市場には農業銀行(601288)として上場し、香港H株市場には農業銀行(1288)として上場しています。資産規模は世界3位です。他の大手4代国有商業銀行と比較すると不良債権比率はやや高めです。




※参考資料
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最終更新日 2016/11/10
公開日 2004/06/12




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